BOOK CLUB 海

千葉県発足の読書会です。現在はオンラインを中心に緩く~バラエティに~やっております。

【第一回】ブクラゴ読書会 レポート

朝の9時。まだ静かなファミリーレストランにて、第一回の読書会を開催いたしました。男性3名様が参加下さり、各自持ち寄った本を紹介し合い、お喋りいたしました。

おっとっと、もう二か月前?!

随分時間が経ってしまいましたが、ささやかなレポートを綴りました。

 

■2019年12月21日 (土) 

参加者様:3名 (男性)

 

 

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ご紹介いただいた本

「全てがFになる」「彼女は一人で歩くのか」 森博嗣

大学教授を主人公に先端的な技術や哲学的な会話を盛り込んだミステリーを書かれるという森博嗣さんの本をご紹介いただきました。なんと森氏の著作を揃えて何度も読み込んでらっしゃるという参加者様。「すべてはFになる」は多作の森氏の入門的な一冊になるだろうと伺いました。「彼女は一人で歩くのか」は、200年後の人類をリアルに描き現代的なジェンダーの問題も盛り込んでいるとのことで、薄手の本ながら肉厚な印象を受けました。

 

「心を整える」 長谷部誠

 

サッカーが大好きだという参加者様より「年に一度は必ず読む大切な本」とご紹介いただきました。目の前に集中して直前のことは一切考えない、「蜂は暗いところでしか蜜を作らない」と静謐な孤独の時間に価値を認める姿勢、状況に応じて役割を見出す長谷部選手のマインド・マネジメントを知ることのできる貴重な一冊でした。

 

ライオンのおやつ 小川糸

主人公は三十代の癌の女性。瀬戸内のホスピスにて、病気・死への悲嘆と受容を繰り返すように生を全うする姿、「最後のおやつ」をいただいて優しく生を終えていく姿…非常に感動的な作品だそうです。作者の母が癌を抱えて死を恐れていたことから、死と向き合える作品を作ったそうです。開催中に印象的だったことは、みなさんと「最後に食べたいものは何か」お話ししたことです。ある方はやはり自分の人生のストーリーを重視した選択をするだろうとおっしゃり、十代の男性は「特別のものではない、普通の定食が食べたい (自分の人生はこれだった、とひとつに縛りたくない)」とおっしゃっていたことです。

 

 

***蛇足 主催者の紹介本コーナー***

「春駒日記」森光子

十代で吉原へ売られて命からがら逃げだした女性の実話です。

文学が大好きだった森さんは人目から隠れるようにしのぎを削って本を読み、日記を綴りました。天が彼女に言葉の才を与え、後世に事実を伝えることを使命としたのかと思えるほど美しく鮮明な文章。揺らぐ心。お薦めです。個人的には「不器量で嘘をつかない」彼女を頼った客たちが絶えなかったことも印象的、そして百年前から「クソ客」の存在は変わらないという点がありとあらゆる意味で泣けました。

 

「文学効能辞典」 エラ・バーザード、スーザン・エルダキン

この本はあなたのありとあらゆる状態について処方箋を提供します。しかしその薬は「小説」です!死ぬのが怖いとき、離婚したとき、月曜の朝が怖いとき、復讐したいとき…学生時代に読書会を開いていた二人が大人になって編纂したこの本のなかでは、どんな小説が処方箋になっているでしょう?覗いてみてください。

 

 

 

たまに松戸駅にあるファミリーレストランに足を運ぶと、静かで優しい時間が流れていました。本を開く人、仕事をする人…。まだ開催場所が決まっていなかった際に「この空間でなら小さな読書会ができるかも知れない!」と、実験的に思い切って開催したこの第一回。優しい参加者様たちと和やかに本の話をすることができて、お陰様で良い時間となりました。ご参加いただき、誠にありがとうございました!